藤森 清 教授

FUJIMORI Kiyoshi
Eメール: fujimori@kinjo-u.ac.jp
学位: 博士(文学)
専門分野: 日本近代文学 日本近代文化研究
研究課題: 日本近代文学を対象にした物語学
日本近代における風景意識
日本近代の異性愛体制研究
所属学会: 日本近代文学会 日本文学協会

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藤森清ゼミ ■日本文化演習(3)(4)(日本文学近代)・卒業論文演習(1)(2)

日本語日本文化学科で、近代現代の日本文学を中心的にあつかうのは、この日本文化演習(3)(4)だけです。2006年度は、恋愛や結婚をテーマにした明治大正から第二次世界大戦後の4つの長編小説をとりあげました。夏目漱石『行人』菊池寛『真珠夫人』(前期)、大岡昇平『武蔵野夫人』三浦綾子『氷点』上・下(後期)です。とくに『真珠夫人』と『氷点』はかなりの分量の読み応え十分な小説です。それにもかかわらず、ゼミ学生の半数は、『続氷点』上・下まで読んだようです。暮れには、何度目かの『氷点』テレビドラマ化が重なり、盛り上がりました。

作家論、作品論的な観点からの報告もありますが、文化史的、社会史的広がりをもったテーマ設定も大歓迎です。たとえば、恋愛という概念の成立、結婚制度と小説の関係、近代社会の階層性、通俗物語の歴史、ドラマと小説のテレビドラマ化、映画化の問題点、友情と恋愛の男性社会・・・・などなど。

もう少しやわらかく言いなおすと、どうして恋愛小説は不倫ばかりなの?「君は一人で生きていけるだろうけど、あいつは俺がついていてやらないとだめなんだ」的な女性キャラクターの組合せが、なぜいつまでも続くの?戦後の日本人て、こんなに宗教的だったの?なんで何十年も前の小説やドラマがいまだにリメイクされるの?・・・・

もちろん日本近現代の文学や文化も学びますが、あわせて文献調査(情報の収集、整理、分析)、テーマ設定の仕方(創造的な企画の立て方)、報告の仕方(プレゼンテーション技術)、レジュメの書き方、討議の仕方(説得術)などのノウハウを身につけます。卒業生談によれば、こうしたノウハウが就職活動、その後の仕事の局面に大変力となったとのことです。

さて、2006年 度の卒業論文のテーマのいくつかを紹介してみましょう。

あさのあつこ『バッテリー』のリアルな魅力に迫る
壷井榮『二十四の瞳』人気の理由を小説と映画からさぐる
BL(ボーイズ・ラブ)小説研究
映画『銀河鉄道の夜』を分析する
夏目漱石『こころ』を生命主義の観点から考察する
二つの時代の毒婦・悪女―『高橋阿傳夜叉譚』と松本清張『けものみち』
結核文学のなぞ―ヒロインはなぜ結核で死ぬのか、附現代人気難病小説との比較
戦後人気児童文学『コタンの口笛』からアイヌ問題を考える
新少女物語としての『十二国記』
志賀直哉「小僧の神様」にあらわれた近代日本の階級問題
4年生は、作品テキスト、先行研究論文、雑誌関連記事、新聞関連記事、参考文献などの収集、整理におおわらわで頑張りました。考えるとは、机の前に座って頭をひねることだけを意味しません。足を使い時間をかけて文献のありかを探す、見に行くという作業も考えることの一部です。時には、時代の雰囲気を体得するために、数日昔の新聞のマイクロフィルムを回すこともあるでしょう。調べるという具体的な作業をしているとき、私たちの頭は、知らず知らずに一番働いている、つまり考えているのです。

この経験は、あなた方の一生の宝になるはずです。短くいえば、就職や仕事に、もっと長くいえば、人生の大事な判断をくだすあらゆる局面で役立ってくれるはずです。原理は同じ。できるだけ多くの情報を集め、処理し、決断を下すこと。まあ口でいったら単純なことですが、この作業の具体的な細部やその価値を体得いているかどうかが分かれ目です。たとえば、どんなに調査分析しても、最後は決断という一種の賭けだということをどの程度実感できているか。これが、あなたの判断のクオリティを保証してくれます。

藤森先生はメガネとおヒゲがチャームポイントの素敵な先生です。何だか明治の文豪のような雰囲気で近づきにくいと思うかもしれませんが、お話してみると現代のジェンダー問題から明治・大正の社会問題まで多彩なお話を聞くことができますよ。

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